Q 結合商標の類似判断はどのようにするの?

A 例1として、「Love cosmetic」、例2として、「wave BIOTEC」を挙げます。

 

 上記例1は、「Love」と「cosmetic」、 上記例2は、「wave」と「BIOTEC」の結合商標です。

 

 結合商標は、2つの語の結合の強弱の程度が判断されて、結合が強ければ、上記例1では、「ラブコスメティック」という称呼(読み方)だけが生じ、上記例2では、「ウェイブバイオテック」という称呼(読み方)だけが生じます。

 

 このような結合が強い場合には、「Love cosmetic」は、「Love」や「cosmetic」と非類似になります。また、「wave BIOTEC」は、「wave」や「BIOTEC」と非類似になります。

 

 2つの語の結合が弱ければ、上記例記例1では、「ラブコスメティック」という称呼に加えて、「ラブ」の称呼も生じます。従って、「Love cosmetic」は、「Love」と類似になります。また、上記例2では、「ウェイブバイオテック」という称呼に加えて、「ウェイブ」「バイオテック」の称呼も生じます。従って、「wave BIOTEC」は、「wave」や「BIOTEC」と類似になります。 

 

 

「ラブコスメティック」に関して、以下の事例があります(大阪地判H18(ワ)4737)。

 上記2つの商標は、類似であると判断されています。つまり、上記右の商標では「Love」と「cosmetic」の結合の強度が弱いと判断されております。「cosmetic」は、化粧品について識別力がないので、この点で結合の強度が弱いと判断されています。

(判決文抜粋)

「被告標章1を被告商品のうちの化粧品について用いた場合,これに接した取引者・需要者は,「cosmetic」の部分を被告商品の内容が化粧品であることを意味するものにすぎないものと理解し,「Love」の部分を自他商品の識別機能を果たす要部であると認識することが十分にあるものというべきである。」




 また、「wave BIOTEC」に関して、以下の事例があります(不服2007-13253)。

 上記2つの商標は、類似であると判断されております。つまり、上記左の商標では「wave」と「BIOTEC」の結合の強度が弱いと判断されております。「wave」と「BIOTEC」とは、字体も違うし2段になっており、「wave」と「BIOTEC」とを分離して知覚することができるため、結合の強度が弱いと判断されています。


(判決文抜粋)

「構成中上段の「wave」の欧文字は、全て小文字で構成され中央に大きく筆書き風の書体で白抜きされているのに対し、構成中下段の「BIOTECH」の欧文字は、全て大文字で構成され右下に一般に用いられるゴシック体で白抜きされているものであるから、上段と下段の各文字は、文字の大きさ書体から受ける印象が大きく異なり視覚上分離して看取され得るものとみるのが相当である。そして、上段の「wave」の文字は、英語で「波」の意味を有する語であるのに対し、下段の「BIOTECH」の文字は、2002年3月株式会社研究社発行の「新英和大辞典」によれば、「BIOTECHNOLOGY」の略語であって「生命工学」の意味を有するものであるところ、両語をあわせて、一連の熟語として特定の意味合いを有するものとはいい難く、その他、両者を常に一体不可分のものとして、称呼、観念しなければならない格別の理由も見いだせないものである。そうとすれば、本願商標は、上段と下段の各文字がそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきものであるから、各段の文字部分より生ずる「ウェーブ」又は「バイオテック」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。してみれば、本願商標は、その構成全体から生ずる「ウェーブバイオテック」の称呼のほかに、各段の構成文字部分に相応して「ウェーブ」と「バイオテック」の称呼及び「波」と「生命工学」の観念をも生ずるものといわなければならない。」